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クラウドサービスの利用が拡大する中、ID管理とアクセス管理は複雑化しています。IAMを導入することで、組織が抱える代表的な3つの課題を解決できます。

クラウドサービスの利用拡大は業務効率化をもたらす一方で、管理すべきIDの増加に伴うセキュリティリスクも増加します。従業員はサービスごとに異なるIDとパスワードを管理しなければならず、パスワードの使い回しや簡単な文字列の設定を誘発します。管理者側は、誰がどのサービスを使っているか、適切な権限が付与されているかを把握することが困難になります。また、手作業によるアカウント管理の不備(退職者の削除漏れや権限付与ミスなど)は、不正アクセスや情報漏洩の大きな要因となります。
IAMを導入することで、IDやパスワードを一元管理し、ユーザーごとに適切なアクセス権限を設定・制御できるため、セキュリティリスクを低減できます。また、退職などで不要になったアカウントを一か所で無効化すれば、連携するすべてのクラウドサービスのアクセス権をまとめて剥奪できます。これにより、元従業員の不正利用やなりすましを防ぎ、不適切な権限が放置されるリスクを解消するため、内部不正の防止にも大きく貢献します。
また、IAMは昨今注目されている「ゼロトラスト(すべてのアクセスを信頼せず、常に検証する)」の考え方を支える土台としても不可欠です。社内外を問わず、アクセスごとにユーザーの身元や安全性を検証することで、強固なアクセス制御を実現できます。多要素認証(MFA)などの認証強化と組み合わせることで、より高度なセキュリティ対策を実現できます。
◆ ゼロトラストの解説はこちら
ゼロトラストとは?注目される背景やメリットをわかりやすく解説
企業では、各種法令や業界のセキュリティ基準に準拠した、適切なアクセス管理やログ管理を求められます。しかし、複数のクラウドサービスを利用している場合、手作業による個別管理では、退職者アカウントの放置や過剰な権限付与といった人的ミスが発生しやすく、コンプライアンス上の重大なリスクとなります。また、各種ログがサービスごとに保管されているため、監査対応の負担増加につながります。
IAMを導入することで、認証のログを一元管理でき、管理者は「誰が、いつ、どの端末でログインしたか」などのアクセス履歴を容易に確認・追跡することができます。また、社員の異動や退職に合わせた権限の追加・削除を自動化し、常に「業務に必要な最低限の権限」だけを持たせることができます。これにより、監査対応の工数を削減しながら、万が一のトラブル時にも迅速なログ調査と原因追究が可能になります。その結果、内部不正の防止と法令に準拠した管理体制の構築が可能になります。
情報システム部門にとって、従業員の入社や異動、退職に伴うアカウントの作成・変更・削除といった作業は、膨大な時間と手間がかかる業務です。例えば、1つのサービスのユーザー登録に約5分かかるとした場合、対象のサービスが少数であれば手作業でも対応可能ですが、利用するサービスが10個、20個と増加するにつれて、作業に1時間以上を費やす可能性もあり、管理者の負担は増大します。また、サービスごとに手作業で設定を行う状況は、設定ミスやアカウントの登録漏れ、削除漏れといったヒューマンエラーを誘発しやすくなります。
IAMは、こうした煩雑なアカウント管理業務を自動化・省力化します。例えば、新入社員が入社した際や部署異動があった際、IAMの機能を備えた管理システム上で一度ユーザー情報を登録・変更するだけで、連携しているクラウドサービスのアカウントが自動で処理され、適切な権限が付与されます。これにより、設定漏れやミスを防止し、情報システム部門は個別設定の負担から解放され、より価値の高い本来の業務に専念できるようになります。
IAMの仕組みを実装するにあたり、企業にとって現実的で効率的な手段は、「IDaaS(読み:アイダース)」などのクラウドソリューションの活用です。ここでは、IDaaSの主な機能を紹介します。
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◆IDaaS(Identity as a Service)とは |
なお、IDaaSは基本的に「誰がどのクラウドサービスにログインできるか」を制御します。そのため、クラウドサービス内部の細かい操作の制限はできない場合が多いため、注意が必要です。

IDaaSの主な機能と概要、それによるメリットを紹介します。
| 機能 | 概要 |
| シングルサインオン(SSO) | 1度のログインで連携する複数のクラウドサービスや社内システムへアクセスできる機能です。ユーザーの利便性向上とパスワード漏洩リスクを低減します。 |
| 多要素認証(MFA) | ID/パスワードなどの「知識情報」や、ワンタイムパスワードなどの「所持情報」、指紋・顔認証といった「生体情報」などの複数の認証要素を組み合わせて本人確認を行う機能です。認証強化により不正アクセスへの対策となります。 |
| アクセス制御 | 場所・デバイス・時間帯など、特定の条件のみアクセスを許可する機能です。 管理者が許可した条件以外のアクセスを防ぎ、不審なアクセスから情報資産を守ります。 |
| 統合ID管理 | ユーザーのID情報を一元管理し、アカウントの作成・更新・削除などを効率化する機能です。アカウント管理業務の効率化や運用負荷を軽減します。 |
| IDプロビジョニング | 人事システムやADなどと各クラウドサービスと連携し、アカウントの発行や削除を自動化する機能です。IDのライフサイクル管理を自動化し、アカウントの削除漏れや、不要な権限の付与といったリスクを低減します。 |
| ログ・レポート | ユーザーのログイン履歴や操作履歴を記録・可視化する機能です。不正利用の検知や追跡ができ、ログを一元的に記録・集約することで監査対応にかかる労力を削減し、内部統制とコンプライアンスの強化を実現します。 |
IDaaSを導入しID管理とアクセス管理を適切に行うために重要なポイントを紹介します。
各従業員の役割に沿って、過不足なくサービスへのアクセス権限を設定します。権限が過剰だとセキュリティ上の脅威となり、逆に不足していると業務に支障をきたします。社内で誰がどのようなサービスを利用しているかを洗い出し、誰にどんな権限を付与するか明確にしましょう。
なお、IDaaSは連携したサービスへの認証(ログイン)を管理するため、クラウドサービス内部の細かい操作の制限はできない場合が多い点を認識しておく必要があります。IDaaSの導入を検討する際は、IDaaSでどんな制御ができるのかを事前に確認しましょう。
◆ IDaaS導入の事前準備の解説はこちら
IDaaS導入を成功させるコツとは?トライアル前に必要な事前準備
組織の体制や利用するクラウドサービスは日々変化します。一度行った設定を放置せず、定期的に棚卸しを行い、不要になったアカウントや不適切な権限が残っていないかを確認するサイクルを運用に組み込むことが重要です。
◆ IAMとIGAを組み合わせた運用で、より安全な管理体制を構築IAMの運用をより発展させるために、「IGA(Identity Governance and Administration)」という仕組みもあわせて理解しておくとよいでしょう。 IAMが日々の「認証やアクセスの制御」を行うのに対し、IGAは「誰がどの権限を持つべきか」というルールを定めたり、ルール通りに運用されているかをチェックする役割を担います。この2つを組み合わせることで、「ルールを決める」「実際に権限を与える」「正しく運用されているか確認する」という一連の流れがスムーズになり、より強固なセキュリティ体制を実現できます。 |
IAMによりID管理とアクセス管理を適切に行うことで、不正アクセスの脅威から社内資産を守るセキュリティ強化とガバナンスの向上に加え、情報システム部門の業務効率化を同時に達成することに繋がります。
その具体的なアプローチとして、IDaaSを用いた運用体制の構築が最も現実的かつ効果的です。IAMの導入を機に、自社のセキュリティガバナンスを底上げし、変化に強く持続可能なIT環境の構築へ向けて、新たな一歩を踏み出してみませんか。


