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IGAを導入することで、企業のセキュリティレベルを引き上げ、内部統制の強化や生産性の向上に寄与します。ここでは、代表的な3つのメリットを紹介します。
社内のアカウントとそれに付与されている権限がすべて「見える化」されるため、管理外のアカウントや不要な特権といったセキュリティの死角を減らすことができます。退職者のアカウントが確実に削除され、必要最低限の権限(最小特権の原則)のみが各ユーザーに付与されることで、サイバー攻撃や内部不正による情報漏洩のリスクを抑えられます。
手作業による台帳作成やアカウントの整合性確認を自動化することで、設定ミスや漏れを防ぎコンプライアンスの遵守を実現します。さらに、「申請・承認ルート」や「定期棚卸しの実行ログ」をいつでも証跡として提示できるため、監査対応をスムーズに行えます。
人事情報と連動したID管理の自動化(プロビジョニング)により、人事異動や組織改編期に発生する膨大なアカウント設定業務から解放されます。管理者の手作業によるミスがなくなり、ユーザー自身で必要な権限を申請して速やかに業務を開始できるため、情報システム部門と現場の双方において生産性が向上します。
IGAを自社に導入するには、大きく分けて、IGAに特化した専用ソリューションを用いる方法と、認証基盤であるIDaaS(Identity as a Service)を活用する方法の2つがあります。
一つの方法として、IGAの機能に特化した専用ソリューションを活用する方法があります。複雑な承認ワークフローの構築や、職務分掌(一人のユーザーに利益相反する強力な権限を同時に与えないようにする設定)、高度なリスク分析機能などを備えており、企業のガバナンスを徹底的にシステム化することができます。
IGA専用ソリューションの主な機能
IDライフサイクル管理
社員の入社、異動、休職、退職といった人事業務に伴うIDのライフサイクル処理を自動化する機能です。人事システムなどと連携し、入社日や退職日などの発令日に合わせて、各システムやクラウドサービスのアカウントを自動的に作成(プロビジョニング)、変更、削除(デプロビジョニング)します。これにより、手作業による作成漏れや、退職アカウントの削除漏れを防ぎます。
アクセス権限の可視化と棚卸し(レビュー)
社内のすべてのシステムとアカウント情報を一元的にダッシュボードなどで可視化します。これにより、不要な特権アカウントや使われていない休止アカウントを容易に特定できます。さらに、部署長などの承認者に対して「本当にこのメンバーにこの権限が必要か」を定期的に確認させ、不要な権限を自動で剥奪する棚卸し業務をシステム上で完結できます。
アクセス権の申請と承認ワークフロー
新しい業務システムを利用したい場合に、ユーザーがセルフサービスでアクセス権限の申請を行い、上長やシステム責任者が承認するワークフロー機能です。申請から承認、そして実際の権限付与までをシステム上で一貫して管理するため、「誰が、いつ、どのような理由で権限を申請し、誰が承認したのか」というプロセスが自動的に記録され、不正な権限付与を防止します。
職務分掌(SoD)の徹底
職務分掌(SoD:Segregation of Duties)とは、不正や誤謬を防ぐために、一人のユーザーに利益相反する強力な権限を同時に与えないように制御する考え方です。例えば、「経理システムの支払いデータを作成する権限」と「それを承認する権限」を同一のIDに付与できないようにルールを設定し、システム的にポリシー違反を検知・ブロックする機能を持ちます。
レポーティングと監査対応
現在のID状況やこれまでの権限申請・承認ログ、棚卸しの実施履歴などをレポートとして自動作成する機能です。監査人が求める「アカウントの正当性を証明する資料」を迅速に提出できるようになり、監査の直前に膨大なExcelシートを突合するような手作業から解放されます。過去の特定時点におけるIDおよび権限の状態を遡って確認できる機能を持つものもあります。
もう一つの方法として、ID管理や認証、アクセス制御機能を備えたクラウドサービス「IDaaS(Identity as a Service)」を活用する方法があります。まずはSSOや多要素認証で認証を固め、その次にID管理の自動化、最後にガバナンス(棚卸し・職務分掌など)というように、IDaaSを起点として段階的なセキュリティ強化を目指すことができます。
IDaaSの主な機能
ID管理(プロビジョニング)
データベースと連携し、ユーザーの入社・異動・退職といったライフサイクルイベントに合わせて、利用するサービスのアカウントを自動で作成・更新・削除する機能です。これにより、アカウントの作成漏れや削除漏れを防ぎ、セキュリティリスクを低減し、さらに管理者の手作業による負担を大幅に軽減します。
シングルサインオン(SSO)
一度の認証で、複数のクラウドサービスや社内システムにログインできるようになる機能です。ユーザーはサービスごとに異なるIDやパスワードを覚える必要がなくなり、利便性が向上します。また、管理者は複数のシステムにわたるパスワード管理の負担を軽減し、統制を強化できます。
多要素認証(MFA)
パスワードによる認証だけでなく、スマートフォンアプリで生成されるワンタイムパスワードや生体認証を行うなど、複数の認証要素を組み合わせることで本人確認を強化する機能です。万が一パスワードが漏洩しても、他の認証要素がなければログインできないため、なりすましによる不正アクセスを防ぎ、セキュリティレベルを向上させます。
アクセス制御
IDaaSと連携したサービスへアクセスできる時間や場所、端末(PC、スマートフォンなど)を制限制限する機能です。サービスにアクセスできるルールを決め、それ以外の方法によるアクセスを阻止することで、社外からの不正なアクセスを防ぎセキュリティを高めます。
◆ IDaaS利用時にIGAの機能を補う方法IDaaSを起点としてIGAの導入を始める場合、IDaaS標準の認証・ID管理機能だけではIGA専用ツールに比べ不足する機能がある点に留意する必要があります。それらを補うには、 IDaaSに「IGA機能の追加オプション」がある場合はそれを利用したり、IGA機能に特化した外部ソリューションと連携するといった方法が挙げられます。 |
◇ セシオスが提供するIDaaS「SeciossLink」の機能はこちらをご覧ください
IGAは、企業のシステム全体や業務プロセスに関わるため、導入を成功させるための重要なポイントを2つ解説します。
最初から社内のすべてのサービスやシステムをIGAの管理対象にしようとすると、連携設定や業務プロセスの調整に膨大な時間がかかり、プロジェクトが頓挫する可能性があります。まずは「監査で特に指摘を受けやすい主要クラウドサービス(SaaS)」や「個人情報を扱う重要システム」などにスコープを絞り、段階的に適用範囲(接続するシステムや部門)を拡大していくスモールスタートが成功の鍵です。
自社のIT環境がオンプレミス中心なのか、あるいはSaaSを中心としたクラウド中心の環境なのかによって、最適なソリューションは異なります。また、導入後に日々の設定変更や定期棚卸しを行う情報システム部門の「運用のしやすさ」も重要な評価基準です。自社の現状の課題(アカウント棚卸しの自動化、自動プロビジョニングなど)に必要な機能が十分に備わっており、管理者とユーザーの双方が直感的に操作できる製品や、段階的な機能拡張が可能なソリューションを選定することが大切です。
IGA(IDガバナンス管理)は、単なるセキュリティ対策の一環にとどまらず、企業が安全かつ迅速にビジネスを展開するための重要なインフラです。クラウドの普及や働き方の多様化、コンプライアンスの強化といった時代の要請に対応するには、IGAの導入が不可欠です。自社の規模や課題に合わせた最適なIGAソリューションやIDaaSの活用を検討し、管理負担を最小限に抑えながら、安全で効率的なIT環境を構築しましょう。
