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進む生体認証技術、驚きの現状と問題点を探る

2018/02/15

身近になった「生体認証」

生体認証という言葉は、もう何度も耳にされているのではないでしょうか。これは、指や手のひらなど、体の一部を利用して、本人確認を行う仕組みのことをいいます。認証の対象には他にも、顔や人間の動作などを用いることがあります。

もっとも身近なのは、指紋を用いてスマートフォンのロックを解除することでしょうか。他にも、銀行など金融機関のATMで、生体認証が用いられはじめています。金融機関の中には、アプリに生体認証機能を持たせるところもあらわれました。

生体認証を行うことで、何が便利になるでしょうか。ユーザーIDとパスワードの組み合わせや、暗証番号といった従来型の認証でも、十分ではないでしょうか。こういった疑問が湧くのは、ごく自然なことでしょう。

生体認証には、メリットが多い

これに対する答えは、いくつかあります。まず、パスワードや暗証番号は、覚えていることができない、忘れてしまうことがあります。

暗証番号間違いを繰り返した場合など、アカウントは安全のためロックされ、ロック解除にはさらなる手間が要求されることも多くなります。理不尽にも思えますが、ここまでの説明を読めば、この対応が不可欠であることは、理解できるでしょう。

それに対し、生体認証の最大のメリットは「本人」の身体的な特徴を、認証に用いているところにあります。忘れることはありませんし、用いる方式によっては、本人の認証率は限りなく100%に近くなります。

それでは、人体の、どのようなものが認証の対象になるのでしょうか。個別に、概要、特徴と問題点を見て、それぞれを比較していきます。

成熟度が高い指紋認証

やはり、最初に思い浮かぶのは「指紋認証」です。指紋利用の歴史は古く、19世紀終わりにはインドで犯罪記録の管理に用いられました。各国で犯罪捜査に活用されるようになったのは、20世紀初頭からです。

指紋認証の長所は、技術の成熟度が高く、導入コストが比較的安価なところにあります。日本では、一部の国際空港で、指紋認証による出入国審査の自動化が行われています。

しかし、指の傷や水分などの外的な要因に、認証精度が左右されることがあります。指先を多く使う仕事をする人などは、指紋が摩耗することがあるなど、指紋を使うことが難しい人が一定数存在することが、指紋認証の短所であるといえます。

体内情報を用いる静脈認証

指紋についで触れる機会が多いのが、静脈認証です。これは、手の部分の静脈パターンを認証に用いるものです。

ATMでは、手のひらと指の静脈認証の導入が進んでいます。なお、静脈パターンは赤外線カメラを用いて撮影されます。体内の情報ですから、外からのぞき見されるなどの心配はありません。

個人の識別に必要な唯一性を有しますし、一回撮影すれば永続的に使用可能です。偽造は困難で、静脈を登録できない人も少ないなど、長所が多い方法です。問題点としては、導入コストの高さがあげられます。

安定性が高い虹彩認証

黒目にある虹彩には、多数の細かなしわがあります。これは2歳を過ぎた頃から変化することがなく、指紋以上の唯一性と永続性を有することは、以前から知られていました。

「虹彩認証」は、欧米など一部の国で入国審査に使われています。日本では、金融機関が提供するアプリで、虹彩認証が他の生体認証と併用して利用できるものがあります。

こちらも静脈認証同様で、永続性が高く、偽造することも非常に難しくなります。眼鏡やコンタクトレンズを使用していても、認証結果が左右されることはありません。

眼球に外傷を負うなど、虹彩の形状が変わるようなことがない限り、認証情報として継続利用が可能です。課題は、静脈認証と同じで、導入コストが高価なところです。

利用者負担が小さい顔認証・音声認証

画像あるいは音声解析技術の進歩により、利用者の負担が小さくてすむ認証技術も実用化されています。

代表的なのは「顔認証」です。撮影された顔画像から、顔の形あるいは目鼻、輪郭といった、人それぞれに違う特徴点を抽出します。特徴点間の距離や角度、曲率といった図形的な情報、顔表面の色や濃淡といった情報を総合して、本人かどうかを識別します。

顔認証の特徴は、登録および認証時に、利用者にかかる負担が小さいことです。いっぽうで、顔の角度により認識率が低下し、本人ではないと判定されることもあります。また、顔は変化が大きく、定期的な再登録が必要になります。

音声認証も、利用者にかかる負担が小さい方法です。利用者の発話を解析し、時間と周波数の分布で表したパターンに変換し、それを比較して本人を行います。

比較的安価に実現できる認証方法ですが、声は体調の影響を受けて変化しやすいため、認証を間違える可能性が大きくなります。また、雑音が混じることによる影響も受けやすいため、実用的に利用できる環境は、限られてくるでしょう。

進化する技術に潜む陥穽?

このように、生体認証という技術は、わたしたちの生活に深く関わるようになりました。本人確認の確度が高くなりますし、パスワード忘れなどもなくなりますから、利便性および安全性は飛躍的に高まります。

生体認証技術の進化は、いいことずくめのようですが、注意すべきポイントがあります。それは、生体認証に用いる情報は、高度な個人情報であるということです。管理は厳密に、利用については、慎重であるべきです。前述の通り、指紋は、犯罪の履歴管理に使われてきた歴史があります。

2018年2月7日、中国の人民日報が驚くべき記事を発表しました。顔識別機能を持った、サングラス型のウエアラブルデバイスを、警察が導入したというものです。このシステムでは、カメラで撮影した画像を携帯端末で処理、ホストコンピュータ上のデータベースと照合することで、対象者の氏名、性別、住所などの個人情報を確認できます。

このシステムは治安維持に一定の成果を上げていると報じられています。しかし、恣意的な運用のおそれがあるといった、懸念も残ります。

問題は、使い手がだれであろうと、必要以上の個人情報利用を、いかに防ぐかということでしょう。日本では、法律などで個人情報の利用方法は厳しく規定されていますが、技術の進化は、その速度を想像以上に増しています。新しい技術が登場した際には、注意深く、問題点を考えていくことが求められる時代になったといえましょう。

(画像は「Pixabay」より)

▼外部リンク

生体認証導入・運用の手引き 独立行政法人
情報処理推進機構
https://www.ipa.go.jp/files/000024404.pdf

新しい出入国審査について 法務省
http://www.moj.go.jp/

「みずほダイレクトアプリ」で生体認証機能を導入
株式会社みずほ銀行(プレスリリース)
https://www.mizuhobank.co.jp/

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