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IAMとは?ID・アクセス管理の基本とメリット、導入方法を解説

作成者: セシオスブログ編集部|Aug 10, 2026, 9:54:51 AM

 

クラウドサービスの利用が拡大する中、企業の重要な情報資産を守るためのセキュリティ対策やガバナンスの強化が不可欠となっています。同時に、サービスが増えるたびに増加するアカウントの管理など、情報システム部門の業務負荷の軽減も重要な課題です。


これらの課題を解決する仕組みとして注目されているのが「IAM(Identity and Access Management:アイデンティティ及びアクセス管理)」です。本記事では、IAMの基本的な概念から、解決できる組織課題、IDaaSによる導入方法やポイントまでわかりやすく解説します。

 

 

 目次

 

IAMとは?
IAMを構成する「ID管理」と「アクセス管理」
 ① ID管理:人事情報とユーザー情報を連動して適切に管理する
 ② アクセス管理:ユーザーの「本人確認」と「アクセス権限」を管理する
  アクセス管理の要となる「認証」と「認可」
IAMで解決する3つの組織課題と導入効果
 ① セキュリティを強化し、ゼロトラスト実現の土台を構築する
 ② ログの一元化で、コンプライアンスを強化する
 ③ 情シスの管理工数を削減し、業務を効率化できる
IAMを導入するには?
 IDaaSの主な機能とメリット
IDaaSを利用してIAM導入を成功させるためのポイント
 ① 誰にどんな権限を付与するか、設計を適切に行う
 ② 継続的な見直しを行う
まとめ:IAMによるIDとアクセスの一元管理で、安全で効率的なIT環境を実現

 

 

 

IAM(Identity and Access Management、読み:アイアムまたはアイエーエム)とは、クラウドサービスやシステムにおいて「誰が何にアクセスできるか」を適切に管理することです。「アイデンティティ及びアクセス管理」や「IDとアクセス管理」と呼ばれることもあります。


私たちは、チャットツールや経費精算システムなど、多くのクラウドサービスを業務で日常的に活用しています。通常、これらのサービスを利用する際は、情報システム部門などの管理者が従業員(ユーザー)のIDを発行し、業務に応じたアクセス権限や操作権限を設定します。そして、ユーザーはログイン画面でIDやパスワードを入力して本人確認(ユーザー認証)を行い、認証に成功するとサービスを利用できます。管理者は、従業員の入社や退社、人事異動が発生するたびに、各サービスに対してIDの設定や権限の変更を行います。


昨今、企業は情報管理におけるガバナンスの強化が強く求められています。ガバナンスを維持し、企業の情報資産を守るためには、「誰に、どの範囲の権限を付与するか(誰がどのサービスにアクセスでき、どんな操作ができるのか)」を常に適切に管理する必要があります。しかし、管理者がIDの設定やアクセス権限の付与といったユーザーの管理を手作業で行っていると、従業員数や利用サービスが増加するにつれて業務負担が増加し、管理が煩雑になります。管理が行き届かなくなることで、退職者アカウントの削除漏れや、誤った権限を与えてしまうといった設定ミス(ヒューマンエラー)を引き起こす可能性が高まります。


このように手作業に頼った運用での設定ミスや確認漏れは、重大なインシデントに発展する危険性があります。消し忘れた退職者のアカウントを悪用された「不正アクセス」や、過剰な権限付与に起因する「機密情報の漏洩」など、企業にとってセキュリティ上の脅威となり、経営に致命的な影響を与える可能性があります。こうしたリスクを抱えた状況は、企業のガバナンスが機能しているとは言い難い状態です。


IAMの導入により、ユーザーの管理を一元化および自動化し、「誰がどの情報にアクセスできるか」を適切に管理できるようになります。これにより、アカウントの削除漏れや過剰な権限付与といったヒューマンエラーを防ぎ、組織全体のセキュリティを強化できます。また、社内のルール(セキュリティポリシー)に沿った厳格なアクセス制御がシステム上で担保されるため、企業としてのガバナンスを効かせることが可能になります。 さらに、IAMによりIDの発行や権限変更を一括処理することで、管理者もこれまでサービスごとに手作業で行っていた設定作業の業務負担が軽減します。このように、セキュリティの向上とガバナンスの強化に加え、管理者の工数削減も同時に実現できる仕組みがIAMです。


企業でIAMを導入するためには、必要な機能を備えた管理システム(IDaaSなど)を導入する必要があります。なお、利用しているクラウドサービスや社内システムとの連携可否は、導入する管理システムによって異なるため確認が必要です。

 

◆ IAMの種類:「EIAM」と「CIAM」

IAMは、管理の対象となるユーザー層によって2種類に分類されます。

 

EIAM(Enterprise Identity and Access Management)|読み:イーアイアム
企業の従業員や契約社員といった組織の「内部ユーザー」が管理対象です。

 

CIAM(Customer Identity and Access Management)|読み:シーアイアム
企業が提供するWebサービスやアプリを利用する顧客(消費者)など、組織の「外部ユーザー」が管理対象です。

 

本記事では、企業の従業員などを管理対象とした「EIAM」について解説します。

 

 

IAMは、「ID管理」と「アクセス管理」という主に2つの要素から成り立っています。

 

 

ID管理(Identity Management)は、企業などの組織で利用するクラウドサービスやシステムのユーザー情報(ID)を管理することです。IDを適切に管理するためには、従業員が入社する際の新規発行や、異動に伴う更新、退職後の削除といった人事情報に基づく各種作業を遅滞なく正確に実行することが求められます。IDの発行から削除までの一連のプロセスは、IDのライフサイクルとも呼びます。


ID管理により各サービスに点在するIDを一元化し、ライフサイクル管理を自動化することで、サービス数や従業員数が増えたとしても、退職者のアカウントが削除されずに残り不正アクセスに利用されるといったセキュリティのリスクを低減できます。

◆ ID管理の解説はこちら
ID管理とは?情シス担当者が知るべき基本とIDaaS導入の進め方

 

アクセス管理(Access Management)は、システムを利用しようとするユーザーが「本当に本人であるか」を確認した上で、「どのシステムや情報へのアクセスを許し、どのような操作(閲覧のみ、編集可能など)を許可するか」を管理することです。企業のガバナンス体制を強固にするためには、厳密な本人確認(認証)に加え、業務上必要な最小限の権限のみを各ユーザーに付与すること(最小権限の原則)の徹底が不可欠です。


アクセス管理により、本人確認を厳格に行い、ユーザーの役職や所属部門、業務内容に応じて「必要なアクセスのみ」を許可します。これにより、無関係なリソースや重要なデータへのアクセスをシステム的に遮断することで、内部不正による情報の不正利用や、外部からの不正アクセスによる情報漏洩のリスクを抑え、企業のガバナンス強化に貢献します。

 

 

アクセス管理の要となる「認証」と「認可」

アクセス管理において重要な概念が「認証」と「認可」です。これらはしばしば混同されますが、異なる役割を持っています。


認証(Authentication)
システムにアクセスしようとしているユーザーが「本当に本人であるか」を確認するプロセスです。例えば、IDとパスワードの入力や、スマートフォンを用いた生体認証などにより、本人確認を行うことが認証に該当します。

認可(Authorization)
認証によって本人が確認されたユーザーに対して、「特定のシステムやデータを利用する権限」を与えるプロセスです。例えば、一般社員には売上データの閲覧権限のみを与え、経理部門長には編集・承認権限を与えるといった制御が認可に該当します。


企業のセキュリティを強化するためには、「認証(ユーザー本人であるかの確認)」と「認可(正しい権限の割り当て)」の両方を厳格に行うことが重要です。


◆ 認証・認可の解説はこちら
認証と認可の違いとは?ITセキュリティ基盤を強化するための統合管理アプローチ

 

 

クラウドサービスの利用が拡大する中、ID管理とアクセス管理は複雑化しています。IAMを導入することで、組織が抱える代表的な3つの課題を解決できます。

 

 

クラウドサービスの利用拡大は業務効率化をもたらす一方で、管理すべきIDの増加に伴うセキュリティリスクも増加します。従業員はサービスごとに異なるIDとパスワードを管理しなければならず、パスワードの使い回しや簡単な文字列の設定を誘発します。管理者側は、誰がどのサービスを使っているか、適切な権限が付与されているかを把握することが困難になります。また、手作業によるアカウント管理の不備(退職者の削除漏れや権限付与ミスなど)は、不正アクセスや情報漏洩の大きな要因となります。

IAMを導入することで、IDやパスワードを一元管理し、ユーザーごとに適切なアクセス権限を設定・制御できるため、セキュリティリスクを低減できます。また、退職などで不要になったアカウントを一か所で無効化すれば、連携するすべてのクラウドサービスのアクセス権をまとめて剥奪できます。これにより、元従業員の不正利用やなりすましを防ぎ、不適切な権限が放置されるリスクを解消するため、内部不正の防止にも大きく貢献します。

また、IAMは昨今注目されている「ゼロトラスト(すべてのアクセスを信頼せず、常に検証する)」の考え方を支える土台としても不可欠です。社内外を問わず、アクセスごとにユーザーの身元や安全性を検証することで、強固なアクセス制御を実現できます。多要素認証(MFA)などの認証強化と組み合わせることで、より高度なセキュリティ対策を実現できます。

◆ ゼロトラストの解説はこちら
ゼロトラストとは?注目される背景やメリットをわかりやすく解説

 

企業では、各種法令や業界のセキュリティ基準に準拠した、適切なアクセス管理やログ管理を求められます。しかし、複数のクラウドサービスを利用している場合、手作業による個別管理では、退職者アカウントの放置や過剰な権限付与といった人的ミスが発生しやすく、コンプライアンス上の重大なリスクとなります。また、各種ログがサービスごとに保管されているため、監査対応の負担増加につながります。

IAMを導入することで、認証のログを一元管理でき、管理者は「誰が、いつ、どの端末でログインしたか」などのアクセス履歴を容易に確認・追跡することができます。また、社員の異動や退職に合わせた権限の追加・削除を自動化し、常に「業務に必要な最低限の権限」だけを持たせることができます。これにより、監査対応の工数を削減しながら、万が一のトラブル時にも迅速なログ調査と原因追究が可能になります。その結果、内部不正の防止と法令に準拠した管理体制の構築が可能になります。

 

情報システム部門にとって、従業員の入社や異動、退職に伴うアカウントの作成・変更・削除といった作業は、膨大な時間と手間がかかる業務です。例えば、1つのサービスのユーザー登録に約5分かかるとした場合、対象のサービスが少数であれば手作業でも対応可能ですが、利用するサービスが10個、20個と増加するにつれて、作業に1時間以上を費やす可能性もあり、管理者の負担は増大します。また、サービスごとに手作業で設定を行う状況は、設定ミスやアカウントの登録漏れ、削除漏れといったヒューマンエラーを誘発しやすくなります。

IAMは、こうした煩雑なアカウント管理業務を自動化・省力化します。例えば、新入社員が入社した際や部署異動があった際、IAMの機能を備えた管理システム上で一度ユーザー情報を登録・変更するだけで、連携しているクラウドサービスのアカウントが自動で処理され、適切な権限が付与されます。これにより、設定漏れやミスを防止し、情報システム部門は個別設定の負担から解放され、より価値の高い本来の業務に専念できるようになります。

 

 

IAMの仕組みを実装するにあたり、企業にとって現実的で効率的な手段は、「IDaaS(読み:アイダース)」などのクラウドソリューションの活用です。ここでは、IDaaSの主な機能を紹介します。

 

◆IDaaS(Identity as a Service)とは
IAMの機能をクラウド型で提供するサービスです。一つのプラットフォームに、ID管理や認証、アクセス制御の機能が集約されています。

 

なお、IDaaSは基本的に「誰がどのクラウドサービスにログインできるか」を制御します。そのため、クラウドサービス内部の細かい操作の制限はできない場合が多いため、注意が必要です。

 

 

IDaaSの主な機能と概要、それによるメリットを紹介します。

 

機能 概要
シングルサインオン(SSO) 1度のログインで連携する複数のクラウドサービスや社内システムへアクセスできる機能です。ユーザーの利便性向上とパスワード漏洩リスクを低減します。
多要素認証(MFA) ID/パスワードなどの「知識情報」や、ワンタイムパスワードなどの「所持情報」、指紋・顔認証といった「生体情報」などの複数の認証要素を組み合わせて本人確認を行う機能です。認証強化により不正アクセスへの対策となります。
アクセス制御 場所・デバイス・時間帯など、特定の条件のみアクセスを許可する機能です。
管理者が許可した条件以外のアクセスを防ぎ、不審なアクセスから情報資産を守ります。
統合ID管理 ユーザーのID情報を一元管理し、アカウントの作成・更新・削除などを効率化する機能です。アカウント管理業務の効率化や運用負荷を軽減します。
IDプロビジョニング 人事システムやADなどと各クラウドサービスと連携し、アカウントの発行や削除を自動化する機能です。IDのライフサイクル管理を自動化し、アカウントの削除漏れや、不要な権限の付与といったリスクを低減します。
ログ・レポート ユーザーのログイン履歴や操作履歴を記録・可視化する機能です。不正利用の検知や追跡ができ、ログを一元的に記録・集約することで監査対応にかかる労力を削減し、内部統制とコンプライアンスの強化を実現します。

 

 

IDaaSを導入しID管理とアクセス管理を適切に行うために重要なポイントを紹介します。

 

各従業員の役割に沿って、過不足なくサービスへのアクセス権限を設定します。権限が過剰だとセキュリティ上の脅威となり、逆に不足していると業務に支障をきたします。社内で誰がどのようなサービスを利用しているかを洗い出し、誰にどんな権限を付与するか明確にしましょう。


なお、IDaaSは連携したサービスへの認証(ログイン)を管理するため、クラウドサービス内部の細かい操作の制限はできない場合が多い点を認識しておく必要があります。IDaaSの導入を検討する際は、IDaaSでどんな制御ができるのかを事前に確認しましょう。

◆ IDaaS導入の事前準備の解説はこちら
IDaaS導入を成功させるコツとは?トライアル前に必要な事前準備

 

 

組織の体制や利用するクラウドサービスは日々変化します。一度行った設定を放置せず、定期的に棚卸しを行い、不要になったアカウントや不適切な権限が残っていないかを確認するサイクルを運用に組み込むことが重要です。

 

 

◆ IAMとIGAを組み合わせた運用で、より安全な管理体制を構築


IAMの運用をより発展させるために、「IGA(Identity Governance and Administration)」という仕組みもあわせて理解しておくとよいでしょう。
IAMが日々の「認証やアクセスの制御」を行うのに対し、IGAは「誰がどの権限を持つべきか」というルールを定めたり、ルール通りに運用されているかをチェックする役割を担います。この2つを組み合わせることで、「ルールを決める」「実際に権限を与える」「正しく運用されているか確認する」という一連の流れがスムーズになり、より強固なセキュリティ体制を実現できます。

 

 

IAMによりID管理とアクセス管理を適切に行うことで、不正アクセスの脅威から社内資産を守るセキュリティ強化とガバナンスの向上に加え、情報システム部門の業務効率化を同時に達成することに繋がります。


その具体的なアプローチとして、IDaaSを用いた運用体制の構築が最も現実的かつ効果的です。IAMの導入を機に、自社のセキュリティガバナンスを底上げし、変化に強く持続可能なIT環境の構築へ向けて、新たな一歩を踏み出してみませんか。