企業のIT環境がクラウドとオンプレミスのハイブリッド構成へと移行する中、情報システム部門にとってセキュリティの確保と業務効率の両立は喫緊の課題となっています。その対策の根幹をなすのが「認証(Authentication)」と「認可(Authorization)」です。
両者はしばしば混同されがちですが、機能と役割は明確に異なります。この違いを正確に理解せずにセキュリティ対策を講じても、アクセス制御の不備による情報漏洩リスクを完全に排除することは困難です。
本記事では、認証と認可の定義と役割の違いを解説し、複雑化するIT環境においてこれらを統合的に管理し、堅牢なセキュリティ基盤を構築するための要点を提示します。
セキュリティ設計において、認証と認可は密接に関連していますが、プロセスとしては独立しています。両者の違いを端的に定義すると以下のようになります。
情報漏洩などのセキュリティインシデントの多くは、正規のユーザーとして「認証」された後に、本来アクセスすべきでない重要データへの「認可」が適切に制御されていないことに起因します。
認証と認可の境界線は、物理的なセキュリティの例に置き換えることで、より実務的な理解が進みます。
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シチュエーション |
認証(本人確認) |
認可(権限管理) |
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オフィスビル |
受付で社員証を提示し、入館ゲートを通過する。 |
所属部署や役職に応じて、特定の執務室やサーバールームへの入室が可能となる。 |
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ファイルサーバー |
ID・パスワードを入力し、システムにログインする。 |
ログイン後、自身の業務に関連するフォルダのみ「閲覧・編集」が可能となる。 |
このように、システムへの入り口を通過させる処理が「認証」、その後の行動範囲を決定する処理が「認可」となります。
「なりすまし」による不正アクセスを防ぐ認証プロセスは、セキュリティの第一関門です。近年では、単一の要素に依存するのではなく、複数の要素を組み合わせることで認証強度を高める手法が標準化しています。
本人確認に用いられる情報は、大きく以下の3要素に分類されます。
セキュリティレベルを向上させるためには、上記の3要素から異なる2種類以上を組み合わせる「多要素認証(MFA: Multi-Factor Authentication)」の実装が推奨されます。
「知識情報(パスワード)」に加え、「所持情報(スマートフォンへの通知)」を要求することで、仮にパスワードが流出したとしても、攻撃者による不正ログインを阻止することが可能になります。これは、ゼロトラストセキュリティモデルにおける認証の基本要件ともなっています。
認証を通過したユーザーに対し、適切なアクセス権を付与するのが「認可」です。ここでは**「最小権限の原則(Principle of Least Privilege)」**、すなわち業務遂行に必要な最小限の権限のみを付与するという考え方が重要です。
認可設定が不十分な場合、一般従業員による機密情報の閲覧や、意図しないデータの持ち出しといった内部不正リスクが高まります。役職や業務内容に応じた厳格なコントロールが不可欠です。
SaaS(Software as a Service)の利用拡大に伴い、企業における認証・認可の管理は複雑化の一途を辿っています。システムごとにID管理が分散(サイロ化)することで、以下のような課題が顕在化しています。
分散したID管理を集約し、セキュアかつ効率的な環境を構築するためには、以下の3つのアプローチによる統合管理基盤の導入が有効です。
SSOを導入し、認証プロセスを一元化します。ユーザーは一度の認証で許可されたすべてのクラウドサービス・社内システムへアクセスが可能となります。これにより、パスワード管理の負担軽減と、認証ポリシーの統一的な適用が実現します。
人事システムをマスターデータとし、各システムへのIDプロビジョニング(作成・更新・削除)を自動化します。入社時の即時ID発行や、退職時の即時権限剥奪が可能となり、手作業によるミスや削除漏れリスクを根本から排除します。
「誰が」アクセスするかだけでなく、「どのような状況で」アクセスしているかをリアルタイムに評価します。「社内ネットワークからはパスワードレス」「社外や未登録デバイスからはMFAを強制」といった動的な制御を行うことで、セキュリティ強度と利便性の最適化を図ります。
認証と認可は、ITセキュリティの要であると同時に、従業員の生産性を左右する重要な要素です。これらを個別のシステムで管理するのではなく、統合ID管理基盤(IDaaSなど)を用いて一元化することは、セキュリティリスクの低減のみならず、運用コストの削減と業務効率の向上に直結します。
確実な本人確認(認証)と、適切な権限管理(認可)の仕組みを再構築することは、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支える強固な基盤となります。
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セシオスが提供するID管理ソリューションは、クラウド・オンプレミスを問わず、認証・認可の一元化をスムーズに実現します。属人的な手作業によるミスをなくし、セキュアな環境を構築するための具体的な機能や事例は、以下よりご確認ください。
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