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実用化も視野に?汎用人工知能が人間を超える日は来るか?

2017/12/12

そもそも、人工知能とは?

昨今、メディアでも話題にのぼることが多い「人工知能」。「人間の知能を、コンピューターで実現するシステムの総称」という定義づけがされています。かなりゆるやかな定義に思えますが、実のところ、学術的にしっかりした定義は、なされていません。

処理の流れを追う形で、もう少し、具体的にしてみましょう。音声や画像といった情報を受け取り、解析し、蓄積されたデータの中から、答えを返させる。実は、医療分野では比較的早い時期から人工知能が取り入れられていますし、金融や芸術などの分野でも活用されています。

さらに身近な場面でも、人工知能により実現したさまざまな便利な仕組みを利用できます。代表的なのは、スマートフォンなどに搭載されている音声入力機能でしょうか。検索サイトで見かけるようになった画像検索および自動翻訳も、身近な人工知能の一種となります。

これらの技術は、21世紀になった頃には、実現不可能と思われていました。やや力技的な感はあるのですが、コンピューターの処理能力向上が、不可能と思われたシステムの実現に弾みをつけました。

汎用人工知能と特化型人工知能

他に、人工知能としてよく知られているのは、トップクラスの棋士にも安定して勝利を収めるようになった、将棋や囲碁のソフトです。ここまでに例示してきたものは、いずれもひとつの機能だけを実現していることから「特化型人工知能」と分類されています。

これに対し「多様なインプットから、問題の解決を提供する」仕組みを「汎用人工知能」と分類します。わかりやすい例として、誰もが知るアニメーション作品に登場する、少年の悩みを聞いて解決策を提供する「猫型ロボット」をイメージしてください。

作品中、主人公格であるロボットは、高度な知能を持つ生物のように振る舞います。彼の振る舞いを決めるために必要な、生命体のような意思決定を、人造物が実現しています。これが、汎用人工知能のひとつの形といえるでしょう。

なお、汎用人工知能という言葉は、複数の領域で利用可能な特化型人工知能に対して使われることもあります。しかし、より高度な「生命的に振る舞うことが可能な」ものこそが、本来の意味とされています。

既に人間を追い抜いた?

驚くべきことに、汎用人工知能は、自身で学習する能力を持ちます。学習により自身が持つ能力を高めていくことが可能であり、いずれ人間の能力を追い抜く可能性があります。

特化型人工知能では、既に人間を追い抜いたと思われる例が見られます。前述の通り、将棋ソフトや囲碁ソフトが、最強クラスの棋士を打ち負かしたことが報じられていますが、これらが相当します。

汎用人工知能においても、同様のことが起きる可能性は十分あるでしょう。むしろ、それは必然といえます。

技術的特異点は2045年?

ところで、現存する人工知能をいくら発展させても、汎用人工知能は実現できないとされています。

それでも、これまでの特化型人工知能の発展段階には、いくつかのブレークスルーがありました。代表的な例として挙げられるのが、「ディープラーニング技術」で、これは特化型人工知能の可能性を大きく引き上げました。

汎用人工知能の実用化には、このクラスのブレークスルーがいくつも必要とされています。それでも、2045年に人工知能は、人間が予測不可能な技術に達するポイント、「技術的特異点(シンギュラリティ)」に到達すると、予測されています。

世界はどう変わるのか?

汎用人工知能の実用化で期待できるのは、より困難な課題の解決が可能になることでしょうか。人間では気づくことができない、あるいは無意識に棄ててしまう選択肢を、人工知能は検討することができます。そこから、たとえば新薬の開発、異常気象など自然災害への対応といった、さまざまな課題解決の糸口が見えてくることでしょう。

さらに、人間の、ある種の仕事を代替することも可能になります。人間と人工知能とのコラボレーションは、労働時間の短縮などを通じ、人がより豊かな生活を送るための契機になるかも知れません。

これが行き過ぎて、人間の仕事を全部代替する可能性も考えられています。しかし、そこまで実現するには、ハードウェアの開発が不可欠です。くだんの猫型ロボットのように、人間の複雑な動作までをエミュレートすることは、技術的な難易度も高く、大きなコストがかかるものです。

ゆえに、「人間の仕事を全部代替する」ということは、あくまで可能性にとどまっていると考えられているのが現状です。

法律など、環境整備が不可欠

もちろん、負の面も考えなければなりません。前提として、人間はしばしば「誤る」動物であることを、再認識すべきです。その製造物である人工知能も、誤作動を起こす可能性が残ります。対策は不可欠でしょう。

また、汎用人工知能を、人間を傷つける、生命を奪う危険性がある技術へ適用することには、慎重であるべきです。このことで思い出されるのが、アイザック・アシモフのSF作品で用いられた「ロボット工学三原則」です。これは「人間への安全性、命令への服従、自己防衛」からなり、現実のロボット工学にも影響を与えました。

人工知能の研究は、日本だけでなく、世界規模で行われています。日本国内はもちろん、世界的に共通となる、高い倫理観に基づいた法あるいは環境の整備を、技術開発と並行して進める必要があることは、言を俟ちません。

技術的にも、周囲にも、人工知能研究が突破すべき課題は、山積しています。とはいえ、今世紀半ばには、人工知能と人間との関係性は、これまでとは明らかに違っているでしょう。使い方次第とはいえ、究極的には人間をより豊かに、幸福にできる技術になることを、期待したいところです。

(画像は「Pixabay」より)

▼外部リンク

私たちの暮らしと人工知能 国民生活センター
http://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko -201708_04.pdf

汎用人工知能研究会 人工知能学会
http://www.sig-agi.org/

革新知能統合研究センター (AIP) 理化学研究所
http://www.riken.jp/research/labs/aip/

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