2018/01/24
飲食分野においても、IoTの実用化が進みつつあります。
飲食店では、注文する手間もなく、簡単におかわりができる「おかわりコースター」や、3Dプリンタによって複雑な成形を可能にする「XYZ Food Printer」などの導入が始まっています。IoTの技術によって、飲食店で過ごす時間が、より便利に、より快適になり、エンターテインメント性もアップしていきそうですね。
飲食に関するIoT技術の導入は、外食限定のものではありません。「おうちごはん」や「宅飲み」を楽しくするIoTデバイスの動向にも注目が集まっています。
自宅で、バーボンを飲むときに活躍するのが、ジムビームのスマートデカンタです。2017年に誕生したIoTデバイスですが、どんな最新の機能が付いているのか、どんな便利な生活が待っているのかと期待しないで下さい。
ジムビームのスマートデカンタの機能は、バーボンをグラスに注ぐだけという極めてシンプルなものなのです。ニュースや天気を読み上げる機能もなく、他の家電と連携することもできません。
利便性を高めてくれるわけでもないジムビームのスマートデカンタですが、なぜ注目されているでしょうか。その理由を探っていきます。
ジムビームは1795年に誕生し、200年以上愛され続けているバーボンメーカーです。
門外不出のレシピで作るバーボンのボトルには、トウモロコシ、ライ麦、大麦麦芽、水に加え、220年もの経験、誇り、心からの情熱が詰め込まれています。
7世代にわたって、代々受け継がれ続けている製法から生み出されるバーボンからは、キャラメルやバニラ、コーンの香ばしさ、そして軽やかな甘みが感じられます。4年以上の熟成期間を経て生み出されるまろやかな味わいに魅了されているファンは、世界中にいるのです。
熱狂的ファンが多いという点も、ジムビームのスマートデカンタが注目される理由の1つかもしれません。
あなたが、スマートデカンタに1杯のバーボンを"注文"したとき、渋い声の男性がスマートに応えてくれます。ジムビームのスマートデカンタの美声は、グローバルアンバサダーとして有名なフレッド・ノーなのです。
フレッド・ノーは、現在のジムビーム マスターディーラーであり、独特の製造法を忠実に守りながら、新たな市場を開拓し続けるチャレンジャーでもあります。
音声操作ができるスマートデカンタによって、フレッド・ノーがあなただけのために、1杯のバーボンを注いでくれるような気分に浸れるかもしれません。
さらに、フレッド・ノーは、バーボンについての質問にも答えてくれます。答えられる質問の数はそれほど多くはないものの、バーボンをいただきながら、フレッド・ノーとの会話が楽しめるなんて、ジムビームファンにはたまりませんね。
ジムビームのスマートデカンタは、3G接続を用いてインターネットと接続しているようです。この3G接続は、約6ヶ月経過すると無効になってしまいます。つまり、音声認識ができるのも、フレッド・ノーとの会話が楽しめるのも期間限定ということになります。
スマートデカンタは、約6ヶ月経ったら、IoTデバイスではなく、ただのデカンタになってしまいます。一見デメリットのようにも思えますが、期限付きだからこそ、約6ヶ月の間、徹底的に楽しみたくなりますよね。
機能を絞っているため、安価(34.90ドル)に手に入れられるというメリットもあります。アップデートも不要なので、IoTデバイスならではの煩わしさがありません。
生活を便利してくれるわけではないジムビームのスマートデカンタですが、フレッド・ノーとの会話によって、いつものバーボンが、特別な1杯に感じられるかもしれません。
利便性の向上や、効率化を図ることだけが、IoTデバイスの役割ではありません。スマートデカンタは、ジムビームファンの生活に、彩りを添えることでしょう。日本での販売を待ちたいところです。
(画像はジムビームより)